2008616

28回日本医学会総会

 会頭 矢崎 義雄 殿

 

                     第27回日本医学会総会出展「戦争と医学」展実行委員会 残務委員会

                               委員長 西山 勝夫

 

次期医学会総会の企画に関する要請

 

貴職のご活躍に敬意を表します。

 私たちは、2007年4月に大阪で行われた第27回日本医学会総会に際し、かつての「15年戦争」と日本の医学界の関わりなどを検証するパネルを展示し、アメリカ、中国からシンポジストを招き、「戦争と医学」の国際シンポジウムを取り組みました。 

 私たちは、先の医学会総会が、「15年戦争」終結後60年の節目ともいえる時期に開催されることから、戦前・戦後の日本医学界の歩み、特に「戦争」との関連での歩みを振り返るよい機会と考え、私たちの企画を医学会総会の公式プログラムの中に組み込んでいただけるよう、第27回日本医学会総会の岸本忠三会頭及び武田 裕企画展示委員会委員長に要請を行いました。

 しかしながら、医学会総会としての公式な企画には至らず、関連業者の展示スペースの間に僅かな小間を購入して、作成した120枚余のパネルを大型モニターで表示するに止まりました。

 それでも反響は少なくなく、独自に並行して開催した国際シンポジウムとあわせて各種メディアにも紹介され、一定の成果を収めることができました。そして私たちはこのほど、作成したパネルと国際シンポジウムの内容を、医療関係者をはじめ多くの人々に知っていただき、また活用していただくことを展望して、冊子およびブックレットとして出版致しました。

 

 さて、次回第28回の日本医学会総会は3年後の2011年に東京で開催されますが、私たちは、今度こそ「15年戦争」と日本の医学・医療のかかわりの検証を、日本医学会総会として公式の企画に設けていただくことを改めて要請いたします。

今日、医学・医療の歩みは著しく、ますます医学者・医師に高い倫理観が求められています。これに応えるためには、私たちが医学医療のこれまでの歩みを真摯に振り返ることが重要な課題の一つです。

なかでも、日本の医学医療が進歩・近代化し始めた昭和の初期、「15年戦争期」及びそれに続く「戦後期」の医の倫理にかかわる反省は欠かせません。

15年戦争」中の731部隊にかかわる問題(以下、「731部隊問題」)に関しては、当時の資料の焼却、逸散と残された資料の「未公開」「隠蔽」のために、その全貌は未だに明らかではありません。当時、日本を占領した「GHQ」は、この問題に関連した多くの医学者、医師(軍医を含む)を訊問しながら、戦争犯罪、医の倫理については不問にしました。

このような経緯のなかで、日本の医学会・医師会では「731部隊問題の真相は不明」「731部隊問題は解決済み」あるいは「タブー」とされ、731部隊問題等について真摯に向き合い、教訓を得る取り組みはこの60年間ほぼ皆無でした。

1951年には、日本医師会が世界医師会に加盟するにあたり、「日本の医師を代表する日本医師会は此の機会に、戦時中に敵国人に対して行なった暴行を非難し、又行われたと主張され、そして時として生じたことが衆知とされる患者の残虐行為をとがむ」と声明しました。これは、この種の問題に組織として言及した唯一のものですが、これとても日本の医学者・医師の戦争中の行為を真摯に反省し、その教訓から今後の医学医療・医の倫理のあり方を示したものとはいえません。

 一方、日本とは対照的に、戦時中日本の同盟国であったドイツでは、ベルリン医師会が1988年に「・・ナチズムの中で医師層が果たした役割と、忘れることが出来ない犠牲者の苦しみを思い起こす・・ベルリン医師会はその過去の重荷を負う。我々は悲しみと恥を感じている・・」と声明し、「過去の克服」が、医学・医療の領域でも進められてきました。

「過去に目を閉ざすものは、現在さえも見えなくなります」という歴史の教訓に学び、私たちがかつての戦争と医学・医療の関係、特に戦争中における医学者・医師の残虐行為等の史実を明らかにし、史実を基に議論を開始することは、医の倫理の確立や明日の医学界のために不可欠ではないでしょうか。

貴職としてこのような時代の要請を汲み取っていただき、第28回医学会総会でこの問題について討議検討し、同総会としての考え、態度を表明する企画をしていただくようお願いします。

 

 

     27回日本医学会総会出展「戦争と医学」展実行委員会・残務委員会 

 

委員長   西山勝夫  (滋賀医科大学名誉教授)

     副委員長  池田信明  (大阪民主医療機関連合会会長)

          高本英司  (大阪府保険医協会理事長)

           山口研一郎 (現代医療を考える会代表)

     事務局長  武田勝文  (大阪府保険医協会副理事長)

実行委員  井上賢二  (大阪府保険医協会副理事長)

           垣田さち子 (保団連近畿ブロック、保団連理事)

           刈田啓史郎 (東北大学元教授、15年戦医研幹事長)

           小山高澄  (大阪府保険医協会前理事)

           末永恵子  (福島県立医科大学講師)

           土屋貴志  (大阪市立大学准教授)

           長瀬文雄  (全日本民主医療機関連合会事務局長)

           浜野研三  (関西学院大学教授)

           平井正也  (大阪府保険医協会名誉理事長)

           村岡 潔  (仏教大学教授)

           室井 正  (全国保険医団体連合会事務局参事)

           山上紘志  (大阪府歯科保険医協会副理事長、保団連副会長)

           吉中丈志  (京都民主医療機関連合会中央病院院長)

           若田 泰  (近畿高等看護学校校長)

    

 顧問・監修 莇 昭三  (15年戦争と日本の医学医療研究会名誉幹事長)

           安斎育郎  (立命館大学国際平和ミュージアム館長)

           小田徹也  (核戦争防止国際医師会議・大阪支部長)

           下野英世  (摂津市医師会前会長)

         住江憲勇  (全国保険医団体連合会会長)

         土山秀夫  (元長崎大学学長)

         常石敬一  (神奈川大学教授)

         東野利夫  (東野産婦人科病院会長)

           肥田 泰  (全日本民主医療機関連合会前会長)

           藤崎和彦  (岐阜大学医学部教授)

           松村高夫  (慶応義塾大学名誉教授)

           湯浅 謙  (西荻窪診療所・医師)

           吉田 裕  (一ツ橋大学教授)     

 

 

 

                   (連絡先)

                        「戦争と医学」展実行委員会・残務委員会

                                         事務局  〒556-0021 大阪市浪速区幸町1−2−33
                                  
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